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よくある質問

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よくある質問(FAQ)

 

強制わいせつ罪でわいせつ意思がなかったら?

強制わいせつ罪の成否が争われるケースとして、行為者に性的な意図やわいせつ行為の意思がないケースがあります。

わいせつ目的ではなく、他の目的でおこなわれたときに、強制わいせつ罪が成立するのか過去に争われ、最高裁が結論を出しています。

今回は、その最高裁平成29年11月29日大法廷判決の紹介です。

 

事案の概要

被告人は、インターネットを通じて知り合った人からお金を借りようとしました。

その際、条件が提示されました。

その内容が、当時7歳の被害女児に対し、わいせつな行為をし、これを撮影して画像データを送信することでした。

被告人は、この条件に応じ、被害女児が13歳未満であることを知りながら、自宅で被害女児に対し、被告人の陰茎を触らせ、口にくわえさせ、被害女児の陰部を触るなどしました。

この行為により、強制わいせつ罪で起訴されたものです。

なお、この撮影行為は児童ポルノの製造、送信した行為は児童ポルノの提供に当たるとして有罪とされています。

被告人自身の意図としては、わいせつ行為をしたいというものでなく、お金を借りたいというものだったので、これで強制わいせつ罪を成立させて良いのかどうかが問題になりました。

 

原審までの判断

第1審判決は、強制わいせつ罪の成立を認定(神戸地判平成28・3・18)。

強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由。

そうであれば、被告人の性的意図の有無によって、性的自由の侵害がされたかどうかは左右されないことになります。

また、性的意図という点が、強制わいせつ罪の成立要件であると定めた規定はありません。

したがって、客観的に、わいせつ行為がなされ、被告人にその認識があれば、強制わいせつ罪は成立するとしました。

 

原審の高裁判決も、同じく強制わいせつ罪の成立を認めました。

これに対し、昭和45年判例に違反するとして、上告がされました。

 

昭和45年判例とは?

昭和45年判例は、男性の被告人が、被害女性を自室に呼び出し、報復の目的で、内妻とともに、約2時間の脅迫。畏怖した被害女性を裸にさせたうえで、写真を撮ったという事件でした。

原審判決までは、強制わいせつ罪の成立を認めましたが、最高裁では、強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図が必要であるとし、報復、侮辱、虐待目的の場合には、強制わいせつ罪は成立しないと判断したものです。

この判例からすると、本件でも、自分の性欲を満たす目的でないことから、強制わいせつ罪が成立しないのでは?と上告されたわけです。

 

最高裁の判断

結論として上告棄却。

昭和45年判例の変更をしました。

強制わいせつ罪は成立するという結論です。

 

性的意図は、規定されていない。

強制わいせつ罪の規定では、性的意図のように故意以外に、主観的事情が成立要件としては規定されていません。

昭和45年判例では、なぜ性的意図の有無により強制わいせつ罪と強姦罪との法定刑が区別されるかの説明がなく、なぜ強姦罪に性的意図を要しないのかの説明もないとしました。

元来、性的な被害に係る犯罪規定あるいはその解釈には、社会の受け止め方を踏まえなければ、処罰対象を適切に決す
ることができないという特質があると考えられるとしています。

昭和45年判例は、その当時の社会の受け止め方などを考慮しつつ、強制わいせつ罪の処罰範囲を画するものとして、同罪の成立要件として、行為の性質及び内容にかかわらず、犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを一律に求めたものと理解できるが、その解釈を確として揺るぎないものとみることはできないとしました。

性犯罪に関する法改正が、性的な被害に係る犯罪やその被害の実態に対する社会の一般的な受け止め方の変化を反映したものであることは明らかであるとしました。

このような変化の点からすると、今日では、強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては、被害者の受けた性的な被害の有無やその内容、程度にこそ目を向けるべきであって、行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は、その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず、もはや維持し難いと結論づけました。

 

具体的な状況がわいせつ判断に考慮されることもある

ただ、わいせつ行為には、強姦罪に連なる行為のように、行為そのものが持つ性的性質が明確で、当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため、直ちにわいせつな行為と評価できる行為

のほかに

行為そのものが持つ性的性質が不明確で、当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為

もあります。

それだけでわいせつとされる行為と、その状況においてはわいせつとされる行為ですね。

 

判決では、同条の法定刑の重さに照らすと、性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。そして、いかなる行為に性的な意味があり、同条による処罰に値する行為とみるべきかは、規範的評価として、その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられるとしています。

刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって、そのような個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし、そのような場合があるとしても、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきであるとのことです。

わいせつかどうかの判断に、具体的な状況を考慮しないといけないシーンは当然にあるという話です。

 

たとえば、青森地判平成18.3.16では、嘔吐させることに性的満足を感じる人が、性的意図を持ちながら、女子高校生の口内に指を差し入れ嘔吐させる行為について判断しています。客観的に「わいせつ行為」とすることはできず、性的意図があったとしても暴行罪にとどまると判断しました。

 

それ自体でわいせつな行為

本件事案は、当該行為そのものが持つ性的性質が明確な行為といえるでしょう。

やっている行為自体から、わいせつ性の認定ができるという内容です。

 

その他の事情を考慮するまでもなく、性的な意味の強い行為として、客観的にわいせつな行為であることが明らかであり、強制わいせつ罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の結論は相当であるとしています。

被告人の陰茎を触らせ、口にくわえさせ、被害女児の陰部を触るなどという行為は、あきらかにその行為自体でわいせつ性ありとされるものだということです。

今回の最高裁判決が出るまでも、下級審では、原審のように性的意図までは不要とする判断も出ていました。

社会的にも、性犯罪への厳罰化が進む中で、あきらかに性的被害が発生しているのに、「性的意図」がないから無罪と結論づけるのは、納得できないでしょう。

 

 

 

 

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