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よくある質問

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よくある質問(FAQ)

 

インサイダー取引と公表とは?

株式取引などで規制されるものにインサイダー取引があります。

自分の社内情報などを使って株式取引ができてしまえば、一般の投資家よりも有利な取引ができそうですね。

そのようなズルは許さないというのが、インサイダー取引となります。

この規制で問題になるのは、その情報が、公表されてからならば、取引が許されるという点です。

今回は、最高裁平成28年11月28日第一小法廷決定で、争われた内容を紹介します。

 

事案の概要

インサイダー取引が争われた事件です。

被告人は、金融商品取引法166条インサイダー取引規制に違反したとして起訴されました。


その内容としては次のようなものでした。

被告人は、経済産業省大臣官房審議官。

職務上の権限の行使に関して、東京証券取引所が開設する有価証券市場に株券を上場していた会社が、他社と合併する決定をした事実を知りました。

この事実が同社によって適時開示される前に、証券会社を介し、妻名義で同社の株合計5000株を代金合計489万7900円で買い付けました。

ところが、この買付開始の5日前には、この件に関する新聞報道が出ていました。

 

東京地裁、東京高裁では、金融商品取引法の有罪判決。

 

被告人の主張は?

被告人は上告。

2点を主張しました。

まず、本件事実について、金融商品取引法166条4項、金融商品取引法施行令30条1項1号に基づいて、同社の代表取締役等が2以上の報道機関に公開。これにより公表されたといえ、インサイダー規制の対象外となった可能性がある点を主張。

次に、本件事実については、妻名義の買付前に、全国紙と、それに続く報道があり、既に公知の状態となっていた。インサイダー規制の「重要事実」性が喪失され、その規制の効力が失われたと主張。

この2点が争点となりました。

 

最高裁の判断

上告棄却。

 

上告趣意がいずれも刑訴法405条の上告理由に当たらないとしました。

ただ、職権により、被告人の主張に対し、判断もしました。

 

まず、1点目について、情報源を公にしないことを前提とした報道機関に対する重要事実の伝達は、たとえその主体が同号に該当する者であったとしても、同号にいう重要事実の報道機関に対する「公開」には当たらないと解すべきであるとしました。

つぎに、2点目について、法令上規定された公表の方法に基づかずに重要事実の存在を推知させる報道がされた場合に、その報道内容が公知となったことにより、インサイダー取引規制の効力が失われると解することは、当該報道に法166条所定の「公表」と実質的に同一の効果を認めるに等しいとしました。
このような解釈は、公表の方法について限定的かつ詳細な規定を設けた趣旨と基本的に相容れないとし、本件のように、会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされたとしても、情報源が公にされない限り、法166条1項によるインサイダー取引規制の効力が失われることはないと解すべきであると結論づけました。

 

 

インサイダー取引規制の趣旨は?

金融商品取引法166条のインサイダー規制がされている趣旨は、市場取引の公平・公正及び市場に対する投資家の信頼の確保にあるとされています。

会社の関係者だけが知っているインサイダー情報で、証券取引をされて不当な利益を上げられてしまっては、その分、通常の投資家が損失を受けることになります。そのような市場では、取引をしなくなるでしょう。

そうすると、市場全体が縮小していくことになります。

そのため、上場会社等に対する法令に基づく権限を有する者も含めた会社の関係者は、合併のような重要事実を知った場合に、その事実の公表後でなければ、その会社の株を売買してはいけないとされているのです。

 

重要事実の「公表後」とは?

そこで、インサイダー規制では、この公表後であったかどうかが争われる構図となります。

公表方法については、金融商品取引法166条4項、施行令30条で規定されています。

この公表方法は、限定的だとされます。

取引をする側としては、インサイダー取引になってしまうのか、取引して良いのかの判断基準となるので、限定的に規定されているわけです。

これが、インサイダー規制の解除要件となります。

今回の裁判で主張されたのが、

上場会社等の代表取締役などが当該重要事実を2以上の報道機関に対して公開し、かつ、当該公開された重要事実の周知
のために必要な期間(12時間)が経過したこと、という規定です。

 

本件では、情報源が公ではないものの本件事実に関する報道されたので、公表されたといえないか、が争われました。

また、この公表の要件を満たさないと判断された場合でも、報道によって公知の状態となったことで、重要事実ではなくなり、インサイダー規制の対象外になったのではないか、とも争われました。

 

 

情報源が不明だと報道されても公表にならない?

 

被告人による買付前に、全国紙で報道されたのですが、これについては情報源が明示されていませんでした。

報道内容から情報源を特定もできませんでした。

もし、この情報源が代表取締役など施行令が定めている主体であるとされてれば、公表されているといえることになります。

しかし、本決定では、情報源が不明として、公表要件を満たさないと判断しています。

公表と認められるには、情報源まで明らかにされることが前提となっています。

 

公知の状態と言えるには?

2点目の公知の事実になっていたのではないかという点です。

複数の報道機関が報道している場合、一般の投資家も、この情報を検討することはでき、公知の事実としても、インサイダー規制の趣旨に反しないともいえそうです。


しかし、本決定では、インサイダー規制の趣旨から、本件では情報源が公にされなければ、インサイダー規制の効力は失われていないとしました。

判決文を読む限り、公表要件という規制があるのだから、これを満たすことで、公知の事実となるのであり、ここに至らない報道あっても公知の事実とはいえないという内容です。

 

 

 

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