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よくある質問

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よくある質問(FAQ)

 

勾留が繰り返されるケースとは?

延長を含めて20日間の勾留期間が終わった、と思ったら、再逮捕でまた10日・・・ということはよくあります。

そのような勾留がどこまで認められるのか争われたケースもあります。

今回は、そのような最高裁平成30年10月31日第二小法廷決定の紹介です。

 

 

事案の概要


被疑者は、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反の被疑事実(規制薬物として取得した大麻の代替物の所持)により現行犯逮捕されました。

容疑は、平成30年9月19日午後6時6分過ぎ頃、京都市内の建物において、貨物の配送職員に扮した捜査員から、その建物を配送先とする、在中の大麻が代替物と差し換えられた航空貨物を受け取り、同貨物を、建物北側路上に停車中の、A運転の自動車のトランクに載せようとしたところ、同日午後6時21分、捜査員から声をかけられ、薬物犯罪を犯す意思をもって、大麻として取得した物品を所持したというものでした。

その後、9月21日には、勾留されました。

同年10月10日、被疑者は、Aらと共謀の上、営利の目的で、みだりに、大麻を隠匿した航空貨物をアメリカ合衆国から発送し、本邦に陸揚げさせ、もって大麻を本邦に輸入したという、大麻取締法違反の被疑事実(大麻の営利目的輸入)により逮捕。

同月12日、勾留請求。

 

勾留決定に対し、弁護人が準抗告。

 

地方裁判所の対応

準抗告を受けた地裁は、原裁判を取り消し、本件勾留請求を却下しました。

その理由としては、前回勾留にかかる被疑事実と、本件勾留にかかる被疑事実とは、社会的事実としては、一連一体の事実であって、関係者も同一であり、必要とされる捜査の内容も、その大半が共通すると考えられるというものでした。

このような両事実の実質的な同一性や、両事実が一罪関係に立つ場合との均衡等を考慮すると、捜査機関は、前回勾留中に、本件勾留請求にかかる被疑事実の捜査についても、同時に処理することが義務付けられていたと解するのが相当であり、これに反して再度の勾留請求を認めることは、勾留の期間を厳格に制限した法の趣旨を逸脱するものとして、許されないというべきであるとし、勾留の不当な蒸し返しだと指摘しました。

これに対し、検察官から特別抗告。

 

 

最高裁の決定内容

抗告棄却。

本件抗告の趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらないとしました。


なお、所論に鑑み職権により調査すると、原決定が、本件勾留の被疑事実である大麻の営利目的輸入と、本件勾留請求に先立つ勾留の被疑事実である規制薬物として取得した大麻の代替物の所持との実質的同一性や、両事実が一罪関係に立つ場合との均衡等のみから、前件の勾留中に本件勾留の被疑事実に関する捜査の同時処理が義務付けられていた旨説示した点は是認できないが、いまだ同法411条を準用すべきものとまでは認められないとしました。

 

補足意見


裁判官三浦守の補足意見が、次のとおりとされました。


本件は、大麻の密輸入に関し、いわゆるクリーン・コントロールド・デリバリーによる捜査が行われ、被疑者は、本件の勾留請求の前に、規制薬物として取得した大麻の代替物の所持の被疑事実により勾留され、その後、大麻の営利目的輸入の被疑事実により本件の勾留請求がされたというものであるとの経緯の確認。


本件の被疑事実と前件の被疑事実とは、一連のものであって密接に関連するが、社会通念上別個独立の行為であるから、併合罪の関係にあるものと解されるところ、両事実の捜査に重なり合う部分があるといっても、本件の被疑事実の罪体や重要な情状事実については、前件の被疑事実の場合より相当幅広い捜査を行う必要があるものと考えられるとしています。


したがって、原決定が、両事実の実質的同一性や、両事実が一罪関係に立つ場合との均衡等のみから、捜査機関が、前件の被疑事実による勾留の期間中に、本件の被疑事実の捜査についても、同時に処理することが義務付けられていた旨の説示をした点は、刑訴法60条1項、426条の解釈適用を誤ったものというほかないと指摘。


しかし、本件の証拠関係、捜査状況のほか、被疑者が原決定により釈放され、既に相当の日数が経過していること等も考え合わせると、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとすることについては、わずかながら躊躇を覚えるところであり、同法411条を準用すべきものとまでは認められないとしました。

 

 

 

逮捕勾留一回性の原則

同一の被疑事実を捜査するために、何回も逮捕・勾留などの身柄拘束があると、勾留日数などの身体拘束期間の上限が決められている趣旨に合いません。

そこで、同一の被疑事実を理由とする身柄拘束は、原則として一回だけとされます。

これが、逮捕・勾留一回性の原則と呼ばれたりします。

 

この原則は、別事件の場合には当てはまりません。

併合罪関係の事件についても、各事件ごとに身柄拘束の理由と必要性について司法審査を受けるべきものであるから、一般に各別の事件として逮捕・勾留の請求が許されるというのが判例の立場です。

これに対し、拘束理由となる犯罪事実が、実体法の適用上一罪と評価される関係ならば、捜査機関は、全体について、起訴すべきか否かを判断すべきといえるでしょう。

これが、本件で問題になる同時処理義務の話です。

このような義務を負うのであれば、それを理由に複数回の身柄拘束は原則として許されないことになります。

 

ただ、併合罪の関係でも、その中には様々な類型があります。単純に併合罪だから許されるという単純な話にもならないでしょう。

 

本件では、規制薬物の代替物の所持と、その輸入との関係が問題となっています。

判決では、併合罪関係にあることが前提にされていると読めます。補足意見ではハッキリ書かれています。

 

1回めの身柄拘束期間中に、輸入についても実際に捜査がされていたならば、2回めの勾留は不当な蒸返しとも評価されます。

 

最高裁は、結論としては抗告棄却であるものの、理由のなかで、幅広い捜査の必要性も認める話をしています。

 

 

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